日々や毎月の帳簿付けが終わると、残高試算表を作成します。
残高試算表は、各勘定科目の残高を一覧にした表です。
残高試算表は、資産や負債、純資産が記載された「貸借対照表」と収益や費用が記載された
「損益計算書」から構成されます。
会計ソフトを利用している場合は入力した仕訳から自動で作成されます。
まずは、貸借対照表や損益計算書の見方を理解します。
残高試算表の見方がわかると、財政状態や経営成績を把握することができます。
●貸借対照表
貸借対照表は、その時点の財産(資産や負債)を一覧表にしたものです。
貸借対照表の左半分は現金などの資産の一覧表、右半分は借入金などの負債や資本金などの純資産の
一覧表になっています。
■貸借対照表を確認する観点
- 仕訳に間違いがないかどうか
残高にマイナスのものはないか、残高が特別に大きいものはないか、を確認します。
通常、残高がマイナスになることはありません。
(貸倒引当金や裏書手形は、処理方法により残高がマイナスになることがあります。)
仕訳の間違いや漏れがある可能性がありますので、確認します。残高が特別に大きいものについても、仕訳の間違いや漏れがある可能性があります。 - 資金繰り
残高試算表には残高だけではなく、借方合計、貸方合計に当月の動きの金額が集計されています。
資金繰りでチェックしたい科目
勘定科目 | チェックするポイント |
現金預金 | 現金や預金の残高を確認します。 翌月にいくら残高を繰り越せるか確認することで、資金繰りの目安になります。 |
売掛金 | 借方、貸方、残高を確認します。次のことが確認できます。 借方:今月いくら発生したか 貸方:今月いくら回収したか 残高:翌月以降、いくら回収できるか |
未収入金 | 借方、貸方、残高を確認します。次のことが確認できます。 借方:今月いくら発生したか 貸方:今月いくら回収したか 残高:翌月以降、いくら回収できるか |
買掛金 | 借方、貸方、残高を確認します。次のことが確認できます。 借方:今月いくら支払ったか 貸方:今月いくら発生したか 残高:翌月以降、いくら支払わないといけないか |
未払金 | 借方、貸方、残高を確認します。次のことが確認できます。 借方:今月いくら支払ったか 貸方:今月いくら発生したか 残高:翌月以降、いくら支払わないといけないか |
受取手形 | 借方、貸方、残高を確認します。次のことが確認できます。 借方:今月いくら発生したか 貸方:今月いくら回収したか 残高:翌月以降、いくら回収できるか |
支払手形 | 借方、貸方、残高を確認します。次のことが確認できます。 借方:今月いくら支払ったか 貸方:今月いくら発生したか 残高:翌月以降、いくら支払わないといけないか |
借入金 | 借方、貸方、残高を確認します。次のことが確認できます。 借方:今月いくら返済したか 貸方:今月いくら借り入れしたか 残高:翌月以降、いくら返済しないといけないか |
●損益計算書
損益計算書は、一定期間の収益や費用を一覧表にしたものです。
■損益計算書を確認する観点
- 仕訳に間違いがないかどうか
残高にマイナスのものはないか、残高が特別に大きいものはないか、を確認します。
通常、残高がマイナスになることはありません。
(値引きや割引、割り戻しなどの処理方法により、残高がマイナスになることがあります。)
仕訳の間違いや漏れがある可能性がありますので、確認します。残高が特別に大きいものについても、仕訳の間違いや漏れがある可能性があります。 - 利益がでているかどう
か損益計算書で利益がでているかどうかを確認できます。
利益についてチェックしたい科目
勘定科目 | |
売上総損益 | ・売上から原価を引いたもの。粗利益 ・この数字が小さければ、目標の売上高に達成していない、または、 売上に対して原価が適正でないことがわかります。 |
営業損益 | ・売上総損益から販売管理費を引いたもの。本業の利益 ・販売管理費の金額が大きければ、営業損益の金額は少なくなります。 ・削減できる経費がないか。などを確認できます。 |
経常損益 税引前当期純損益 |
・営業損益から支払利息や有価証券の売却損益などの営業と 直接関係しないものを加減算したもの ・営業と直接関係しない取引がある場合は影響します。 ・税引前当期純損益は税金の対象になる利益です。 |
貸借対照表や損益計算書の見方がわかれば、前年との対比やその月の構成比を確認します。
全体感を把握するため、毎月まずは前年との対比やその月の構成比(総資産に占める流動資産や売上に占める販管費率など)を確認してください。
その他に残高試算表では、企業の経営分析をすることが可能です。
下記のページで残高試算表の数字を入力すると一般的な分析ができます。
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