自己都合退職者を、会社都合退職とすることはできません。
会社都合退職とは、その名の通り会社側からの一方的な労働契約解除により退職を余儀なくされたケースのことで、一般的には、経営破たんや業績悪化に伴う人員整理の対象になった場合などが該当します。退職勧奨・希望退職に応じた場合や、勤務地の移転に伴い通勤が困難になった場合、セクハラの被害を受けた場合など、自分の意志に反して退職を余儀なくされたケースも当てはまります。
自己都合退職とは、転職をはじめ、病気の療養や結婚による引っ越しにより、自ら希望して退職するケースのことです。その他、会社で問題を起こし、懲戒免職になった場合も該当します。
会社都合退職と自己都合退職の違いは、失業保険に影響します。つまり、「やむなく会社に退職させられたか(会社都合)」と「自発的に会社を退職したか(自己都合)」によって、退職後に受給できる失業保険の額、期間などが変わってきます。
具体的に「会社都合に値する正当な理由があった」として認められる基準は、以下の6通りです。
- 破産、民事再生、会社工背、手形取引の停止など、会社の破産によって退職した人は会社都合です。
- 事業所単位で予定解雇があった場合は、会社都合に該当します。
- 賃金、労働時間、勤務地、職種などの採用条件と、実際の労働条件に大きな違いがあった場合は会社都合になり得ます。
- 賃金が一定以上、例えば、残業手当を除いた給料がそれまでの85%未満に低下した場合は会社都合になり得ます。
- 体力不足、心の障害、病気、負傷、器官系の障害で退職した場合は、心身に危害が及んでいると見なされ、特定受給資格者になります。
- 父親や母親の死亡、または病気で扶養するために、退職せざるを得ない場合は特定受給資格者になります。
1と2はハローワークで定義されている一般的な会社都合のケースですが、3と4のような労働条件が当初の説明と異なる場合も一般的には会社都合と認められます。