決算・申告、業務の流れ(法人)
個人事業主から法人成りしました。引き継いだ商品や固定資産などの処理がわかりません

ID:ida1507

個人事業主から法人成りした場合は、個人事業主側、法人側の両方で処理が必要です。

●個人事業主の確定申告
大きく分けて3つの所得計算が必要です。

1.事業廃止に伴う所得計算 事業廃止に伴って、総収入金額と必要経費の計算が必要です。
(1)総収入金額
 ①商品を法人へ引き継ぐことに伴う売上
  法人への引継価額を売上高に加算します。
【その年の売上高】
 通常の売上+設立法人への引継ぎに伴う売上
 ※引継価額は通常の販売価額が基準になります。
  販売価額の70%以上で引き継ぎます。
  ②引当金の戻入
    貸倒引当金がある場合は、全額戻入れます。
  ③買掛金その他の債務の免除を受けた場合
    債務免除額を総収入金額に算入します。
    雑収入などの科目で処理します。

(2)必要経費
  ①売上原価(期末の棚卸)
 【その年の売上原価】
 期首商品棚卸高+通常の仕入高
※期末商品棚卸高は0にします。
 ②引当金の繰入
  新たな繰入れはできません
 ③貸倒損失の計上
  売掛金その他の債権の免除をした場合は、その免除額を必要経費に算入します。
 ④事業税の見込控除
   事業税がある場合は、課税見込額を事業廃止年度の必要経費に算入することができます。
   見込額は計算して求める必要があります。
   計算方法は複雑ですので、税理士または所轄の税務署にお問い合わせください。
 ⑤減価償却費の計算
   事業廃止の月までの減価償却費を計算します。
 【その年の減価償却費】
 1年分の償却費×1/1~事業廃止の月数(1月未満切上)/12月

2.個人資産の引継ぎに伴う所得計算 個人の資産を法人に引き継ぐ方法は2つあります。   
 ・現物出資
 ・個人事業主から法人への売却
※一般的には個人事業主から法人への売却が多いため、
 売却について記載します。

 個人ではどちらであっても譲渡所得になります。

 【資産の種類と所得区分】
 資産 の種類 所得区分  備考 
棚卸資産(商品など)  事業所得  引継価額を売上高に加算
※引継価額が販売価額の70%未満の場合
  低額譲渡に該当 
店舗・土地・備品など 譲渡所得   
 債権・債務 課税関係なし   簿価で引継ぎ

3.設立後の所得計算 法人設立後にその法人から受ける給与などは以下の所得になります。
法人からの給与(役員報酬)  給与所得 
法人の株主になるため、
法人から配当を受けた場合  
配当所得 
法人に建物などを賃貸する場合
に受け取る賃貸料 
不動産所得 

※翌年分から青色申告の効力はなくなります。

●法人の処理
法人成りは事業用の資産や負債を個人から法人に引き継ぎます。

一般的な個人事業主から法人へ売却する引き継ぎ方法について記載します。

【資産の種類と処理方法】
 資産の種類  処理方法 
 棚卸資産 仕入れまたは商品として処理
 固定資産 中古資産の購入として処理
一般的には、法人成りした日の前日の帳簿価額で引継ぎ 
 債権債務 簿価で引継ぎ(引き継がなくてもよい)

あくまで売却です。資産と負債の差額は法人から個人に支払います。
支払いがまだの場合は、「未払金」で処理します。
また、個人事業主と法人の間で売買契約書が必要になります。

一般的には、債務は極力引き継がない方法をとります。
個人事業主と法人は別人格ですので、引き継ぐときは契約書を作成し、
債務の引き受け(債務者の債務を第三者に移す)をしないといけません。

※このほかに個人から法人に資産を貸し付ける方法もあります。

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