
1. 仕入税額控除の計算方式
消費税を一般課税(本則課税)により計算する場合、仕入にかかる消費税額の計算方法には、以下の2つの方式があります。
- 個別対応方式
- 一括比例配分方式
どちらの方式を選択するかによって、控除可能な消費税額が異なります。
2. 計算方法の概要
2-1. 個別対応方式
課税期間中の仕入にかかる消費税額を、次の3区分に分けて計算します。
区分 | 控除の可否 | 例 |
課税売上にのみ対応するもの | 全額控除 | 商品仕入・材料費など |
課税売上と非課税売上の両方に共通するもの | 課税売上割合分を控除 | 水道光熱費、家賃など |
非課税売上にのみ対応するもの | 控除不可 | 土地売却手数料など |
2-2. 一括比例配分方式
課税期間中のすべての仕入にかかる消費税額に対して、課税売上割合を乗じて控除額を計算します。
3. 計算例の比較(課税売上割合:50%)
【計算例】- 売上高:1,100,000円
- 仕入高:550,000円
- 水道光熱費:22,000円
- 土地売却手数料:33,000円
※消費税率はすべて10%とします(税抜換算10/110)
3-1. 個別対応方式
- 売上にかかる消費税:1,100,000円×10/110=100,000円
- 控除可能な仕入税額:
- 仕入高(課税売上対応):550,000円×10/110=50,000円(全額控除)
- 水道光熱費(共通対応):22,000円×10/110×50%=1,000円(50%控除)
- 土地売却手数料(非課税対応):0円(控除不可)
- 合計控除額:51,000円
- 納付税額:1(100,000円)- 2(51,000円)=49,000円
3-2. 一括比例配分方式
- 売上にかかる消費税:1,100,000円×10/110=100,000円
- 控除可能な仕入税額:
605,000円(費用総額)×10/110×50%=27,500円 - 納付税額:1(100,000円)- 2(27,500円)=72,500円
4. 方式の選択と変更ルール
- いずれの方式も、事前の届出なしで選択が可能です。
- 一括比例配分方式を選択した場合は、原則として2年間は変更できません。
- 個別対応方式を選択した場合は、いつでも一括比例配分方式への変更が可能です。
5. 実務上の注意点
課税売上が中心の企業でも、預金利息などの非課税売上が少額でもある場合は、個別対応方式において仕入を「課税対応」「共通」「非課税対応」の3区分に分けて処理することが求められます。
6. 区分の具体例(業種別)
業種 | 課税売上対応 | 共通対応 | 非課税売上対応 |
建設業 | 材料費、外注費、消耗品、 現場水道光熱費 | 販売管理費 | 通常なし |
製造業 | 材料費、外注費、消耗品、 現場水道光熱費 | 販売管理費 | 通常なし |
小売業 卸売業 | 仕入高、運賃など | 販売管理費 | 通常なし |
不動産業 | 建物の購入費、賃貸建物の修繕費 | 販売管理費 | 土地購入手数料、住居用賃貸 建物の修繕費など |
サービス業 | 広告費、営業用機械修理費 | 販売管理費 | 通常なし |