請求明細書の消費税額が、取引先が計算した額や手計算した額と一致しない場合の対処方法を説明します。
伝票単位で消費税額を計算しており、消費税計算の端数処理を変更したい場合は、以下を確認してください。
弥生販売で金額や消費税の端数処理を変更したい
以下の順に確認・操作を行います。
1.得意先台帳の税端数処理の設定を確認する
消費税計算の端数処理は、得意先ごとに設定できます。
請求明細書の消費税額を合わせたい得意先の得意先台帳(または得意先リスト)で、[税端数処理]の設定を確認します。
[税端数処理]を修正する場合は、設定を変更します。
[税転嫁]に応じて消費税額を修正する方法が異なるため、[税転嫁]の設定をメモしておきます。
得意先台帳を変更しただけでは再計算されません。引き続き2.税転嫁に応じて、消費税額を再計算する操作を行ってください。
2.税転嫁に応じて、消費税額を再計算する操作を行う
請求明細書の消費税額は、[税転嫁]によって計算されるタイミングが異なります。
以下の表で、修正方法を確認してください。
税転嫁 | 修正方法 |
外税/請求時 外税/請求時調整 内税/請求時 | 修正方法1 [得意先台帳]の[税端数処理]を変更後、請求締切を取消して、請求の締切をし直します。 |
外税/伝票計 内税/総額 | 修正方法2 設定されている税転嫁が正しいかを確認します。 この税転嫁を使用した請求明細書は適格請求書(インボイス)の要件を満たしません。 変更する場合は[得意先台帳]の[税転嫁]を変更後、請求締切を取消して、売上伝票を修正し、請求の締切をし直します。 |
修正方法1:税転嫁「外税/請求時」「外税/請求時調整」「内税/請求時」の場合の修正方法
得意先台帳で正しい[税端数処理]の設定に変更した後、請求の締切をし直すことで、新しい[税端数処理]の設定で請求明細書の消費税計算を行うことができます。
税転嫁「外税/請求時調整」を使用している場合
「外税/請求時調整」では売上伝票作成時と請求締切時の2段階で消費税が計算されます。
この手順では請求締切時の消費税端数処理を変更する方法を説明しているため、売上伝票作成時の消費税端数処理は変更されません。
売上伝票作成時の消費税は仮の消費税額として売掛残高一覧表等のレポートで確認でき、伝票単位で計算した消費税額と請求締切時に計算した消費税額に差額がある場合、請求締切日に差額を計上します。
- 得意先台帳で[税転嫁]を正しい設定に変更します。
- 該当の請求先を選択して、請求締切の取消を行います。 請求締切を取り消す
- クイックナビゲータの[売上]カテゴリから[請求の締切]をクリックして、[締日]を入力して[集計]をクリックします。
- 消費税の調整を行った得意先を指定して[ズーム]をクリックして、[請求明細書]で消費税額を確認します。
- 内容が正しければ[請求明細書]の画面を閉じ、[請求締切]画面で締切を行います。
- 必要に応じて請求書を発行します。
請求締切を行い直しても消費税額が合わない場合、請求締切の該当期間に複数の税転嫁が使用されている可能性があります。
以下を参考にして、請求締切の該当期間に複数の税転嫁が使用されていないか確認してください。
請求明細書(支払明細書)に伝票ごとではなく、まとめて消費税を出したい
修正方法2:税転嫁「外税/伝票計」「内税/総額」の場合
税転嫁「外税/伝票計」「内税/総額」は売上伝票ごとに消費税を計算するときに使用する税転嫁です。
請求明細書を適格請求書(インボイス)とする場合には以下のいずれかの税転嫁のうち1つを使用してください。
- 外税/請求時
- 外税/請求時調整
- 内税/請求時
請求明細書で消費税の計算を行うには、売上伝票を1枚ずつ修正する必要があります。
得意先台帳の[税転嫁]の設定を変更し、売上伝票の[税転嫁]を修正してください。
ここでは、「外税/伝票計」を「外税/請求時調整」に変更する場合の手順を例に説明します。
他の[税転嫁]を使用している場合は、読み替えて操作を行ってください。
- 得意先台帳で[税転嫁]を正しい設定に変更します。
- 該当の請求先を選択して、請求締切の取消を行います。 請求締切を取り消す
- クイックナビゲータの[売上]カテゴリから[得意先への売上]をクリックします。
- ツールバーの[検索]をクリックして、[検索条件]タブ内で以下の条件の検索を行います。
売上日:請求明細書を作成する期間
税転嫁:修正前の税転嫁
請求先:請求明細書を作成する請求先
- [検索]をクリックして、[検索表示]タブを確認します。
- 表示された売上伝票をダブルクリック、または選択して[ズーム]をクリックすると、売上伝票画面に選択された伝票が表示されます。
- [税転嫁]欄の[▼]をクリックして、得意先台帳で設定した税転嫁を選択し売上伝票を登録します。
- 手順5の検索結果に表示されたすべての伝票で、手順7の操作を行います。
- クイックナビゲータの[売上]カテゴリから[請求の締切]をクリックして、[締日]を入力して[集計]をクリックします。
- 税転嫁を変更した得意先を指定して[ズーム]をクリックして、[請求明細書]で消費税額を確認します。
- 内容が正しければ[請求明細書]の画面を閉じ、[請求締切]画面で締切を行います。
請求締切を行い直しても、消費税額が合わない場合は、得意先台帳で設定した税転嫁以外の税転嫁を使用している売上伝票が含まれている可能性があります。
以下を参考にして、異なる税転嫁が含まれていないか確認してください。
請求明細書(支払明細書)に伝票ごとではなく、まとめて消費税を出したい
3.取引先が計算した消費税額と弥生販売で自動計算した消費税額が合わない場合
適格請求書(インボイス)の請求明細書では、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理とされています。
弥生販売の請求明細書で適格請求書(インボイス)の要件を満たすには、以下の税転嫁を1つだけ使用し、得意先台帳で設定した税端数処理に基づいた消費税計算を行います。
- 外税/請求時
- 外税/請求時調整
- 内税/請求時
取引先が計算した消費税額と弥生販売で計算した消費税額が合わない場合、以下の対応を検討してください。
- 取引先に消費税計算について説明し、自社が発行した適格請求書(インボイス)の金額で処理してもらうように依頼する
- 取引先が発行した支払明細書を適格請求書(インボイス)として扱う旨の対応を行い、弥生販売の消費税額を調整する
取引先が発行した支払明細書を適格請求書(インボイス)として扱う場合
発行した適格請求書(インボイス)は発行側、受取側ともに金額の手修正を行えません。
適格請求書(インボイス)の金額や消費税額を修正するには、適格請求書(インボイス)を再発行するか、受取側(取引先)が発行した支払明細書を適格請求書(インボイス)として扱う旨の対応を行う必要があります。
取引先が発行した支払明細書を適格請求書(インボイス)として扱う場合は、以下の運用を行ってください。
- 取引先が発行した支払明細書が、適格請求書(インボイス)の形式で出力されていることを確認する
- 取引先が発行した支払明細書を適格請求書(インボイス)とすることを確認・了承する
- 自社が発行した請求明細書と取引先が発行した支払明細書は一緒に保存する
弥生販売で発行する請求明細書の消費税額を調整する必要がある場合、以下の税転嫁ごとの方法を確認してください。
税転嫁 | 修正方法 |
外税/請求時 | 売上伝票で修正したい消費税額(全額)を入力する |
外税/請求時調整 | 売上伝票で修正したい消費税額(差額)を入力する |
ここでは、差額として消費税額を-1円する場合を例に説明します。消費税額(全額)を入力する場合も操作方法は基本的な操作は同じです。読み替えて操作を行ってください。
- [請求締切]の処理が既に終了している場合は、手順2の前に[請求締切の取消]を行います。 詳細な手順は、 請求締切を取り消す を参照してください。
- クイックナビゲータの[売上]カテゴリから[得意先への売上]をクリックします。
- [売上日]に今回の請求締切日を入力します。
- [得意先]は消費税調整を行う得意先を選択します。
- 明細部の[内訳]をクリックして、「消費税」を選択します。
- この伝票の税転嫁が「外税/手入力」に変更される旨のメッセージが表示されるので、[はい]をクリックします。
商品名欄に自動的に[消費税]と表示されます。
- 売上日に応じた課税区分が[商品コード]欄に自動で表示されます。表示された課税区分は[商品コード]欄をクリックすると変更できます。
[数量]、[単価]は空欄にし、[金額]欄に差額の金額「1」を入力して、[登録]をクリックします。
※消費税を1円少なくしたい場合は「-1」と入力します。
複数の課税区分(消費税率)の消費税額を修正したい場合は、2行目の明細でも同じ操作を行います。
- クイックナビゲータの[売上]カテゴリから[請求の締切]をクリックして、[締日]を入力して[集計]をクリックします。
- 消費税の調整を行った得意先を指定して[ズーム]をクリックして、[請求明細書]で消費税額を確認します。
- 内容が正しければ[請求明細書]の画面を閉じ、[請求締切]画面で締切を行います。
- 必要に応じて請求書を発行します。