支店や営業所などの売上は、[請求先毎]の設定を行うことで本社にまとめて請求書として発行できます。
適格請求書(インボイス)の消費税計算
適格請求書の記載事項である消費税額等については、一の適格請求書につき、税率ごとに1 回の端数処理とされています。
複数の得意先の請求書をまとめて適格請求書(インボイス)として発行したい場合は、[請求先毎]の設定を行うことで対応できます。
インボイス制度施行後の[請求書合算毎]の使用
[請求書合算毎]は得意先ごとに計算した消費税額を合算して鑑欄に表示するため、適格請求書(インボイス)の消費税計算の要件を満たしていません。
[請求書合算毎]では、PDF送信、デジタルインボイス送信とスマート証憑管理への連携機能を使用できません。
インボイス制度施行前に[請求書合算毎]を使用していた場合の対応については、請求書合算設定を使用せずに適格請求書(インボイス)を発行する方法を確認してください。
以下では、[請求先毎]と[請求書合算毎]の比較を説明します。
[請求先毎]では、売掛金を本社で一括に管理します。
請求先毎 | 請求書合算毎 | |
売上 | 本社・支店に分けて入力する | 本社・支店に分けて入力する |
入金 | 支店の売掛分は本社から本社・支店分まとめて入金される | 支店の売掛分は支店から入金される |
売掛管理 | 支店分も本社で一括に管理する | 本社・支店ごとに管理する |
税転嫁[請求時/請求時調整]の消費税計算 | 支店分も本社でまとめて計算する | 本社・支店ごとに計算する |
請求書 | 本社に支店分の売上も含めた請求書を発行し、本社宛てに請求書を送付する | 本社に支店分の売上も含めた請求書を発行し、本社宛てに請求書を送付する ※本社・支店分の請求書をそれぞれ発行し、本社・支店宛てに請求書を送付することもある |
[請求先毎]と[請求書合算毎] 請求書の出力結果の比較
請求先毎 | 請求書合算毎 | |
宛先 | 請求先に指定した得意先情報が出力される | 請求書合算で指定した得意先情報が出力される |
請求書番号 | 請求書番号が出力される ※請求締切時に自動付番された請求書番号は請求締切一覧表から削除・変更することも可能 |
請求書番号は出力されない ※請求締切時に自動付番された請求書番号は請求先毎に付番されるため、請求書合算では付番・反映されない |
明細部の並び | [伝票日付順]、[得意先コード順(本社は必ず最終表示)]のいずれかで出力できる | [得意先コード順]でのみ出力できる |
[請求先毎]の請求明細書を適格請求書(インボイス)として発行する場合、得意先ごとの売上額は出力できません。
ここでは東京本社A001、大阪支店B001を例に手順を説明します。
運用を確認したい方法をクリックして詳細な手順を確認してください。
請求先毎で請求書を発行する場合
- 得意先台帳の登録
- 東京本社の登録
画像の付番と項目 入力内容 ① コード A001 ② 名称 東京本社 ③ 郵便番号~担当者 東京本社の情報を入力する ④ 出力方法 印刷、PDF送信、デジタルインボイス送信から選択 ⑤ PDF送信時のCC用メールアドレス PDF送信を行う場合、必要に応じて入力する ⑥ Peppol ID [出力方法]に「デジタルインボイス送信」を選択した場合、得意先のPeppol IDを設定する ⑦ 取引区分 掛売上 ⑧ 単価種類、掛率 東京本社の情報を入力する ⑨ 請求先 A001 東京本社 ⑩ 金額端数処理、税端数処理、税転嫁 東京本社の情報を入力する ⑪ 締グループ 東京本社の情報を入力する ⑫ 回収方法~手数料負担区分 東京本社の情報を入力する ⑬ 印刷設定:指定売上伝票 東京本社で使用する売上伝票を選択する ⑭ 印刷設定:指定請求書 東京本社で使用する請求書を選択する ⑮ 企業コード 必要に応じて入力する ⑯ 請求書合算 空欄 - 大阪支店の登録
画像の付番と項目 入力内容 ① コード B001 ② 名称 大阪支店 ③ 郵便番号~担当者 大阪支店の情報を入力する ④ 出力方法 変更しない
東京本社の情報のみ有効⑤ PDF送信時のCC用メールアドレス 変更しない
東京本社の情報のみ有効⑥ Peppol ID 変更しない
東京本社の情報のみ有効⑦ 取引区分 掛売上 ⑧ 単価種類、掛率 大阪支店の情報を入力する ⑨ 請求先 A001 東京本社 ⑩ 金額端数処理、税端数処理、税転嫁 東京本社の情報が反映される
変更は可能ですが、正しく集計できなくなる可能性があるため、変更はしない⑪ 締グループ ⑫ 回収方法~手数料負担区分 ⑬ 印刷設定:指定売上伝票 大阪支店で使用する売上伝票を選択する ⑭ 印刷設定:指定請求書 東京本社の使用する請求書を選択する ⑮ 企業コード 必要に応じて入力する ⑯ 請求書合算 空欄
- 東京本社の登録
- 売上伝票の登録
本店・支店ごとに登録します。
例として、「大阪支店」の売上伝票の登録方法を説明します。- クイックナビゲータの[売上]タブから[得意先への売上]をクリックします。
- 売上のあった得意先[B001 大阪支店]を選択します。[請求先]には得意先台帳で設定している請求先である「東京本社」が表示されます。
- 商品、数量などを入力し、[登録]をクリックします。
- 入金伝票の登録
本社で登録します。
例として、「東京本社」から「大阪支店」分の入金があった場合の入金伝票の登録方法を説明します。- クイックナビゲータの[売上]タブから[請求先からの入金]をクリックします。
- 請求先[A001 東京本社]を選択します。
- 入金区分を選択し、入金された金額を入力します。
※大阪支店分の入金も[A001 東京本社]で入金伝票を登録します。 - [登録]をクリックします。
- 請求締切
- クイックナビゲータの[売上]タブから[請求の締切]をクリックします。
- 得意先台帳で設定した[締グループ]を入力し、締切を行う[締日]を入力し、[集計]をクリックします。
- 集計結果には[A001 東京本社]のみ表示されます。
- [締切]をクリックします。
- 請求書発行
- クイックナビゲータの[売上]タブから[請求書の発行]をクリックします。
- 集計単位[請求先毎]を選択します。
- 【4 請求締切】の手順2で締切を行った[締グループ][締日]を入力します。
- [集計]をクリックします。
- 表示された請求先[東京本社]を選択し、[ズーム]をクリックします。
- 請求明細書に【大阪支店】【東京本社】の明細が表示されていることを確認します。
[機能]で表示順を[得意先順]として表示した場合① 鑑欄は「東京本社」「大阪支店」の合計が表示されます。 ② 明細部の並びは[機能]で表示順を[日付順][得意先順]を選択できます。
[得意先順]を選択した場合は、「得意先コード昇順」「請求先」の順で表示されます。
(請求先コードが得意先コードより昇順でも必ず最後に表示されます)③ 税転嫁[請求時]または[請求時調整]を選択している場合、請求時消費税は請求先である「東京本社」でまとめて計算されます。 ④ 入金伝票を請求先である「東京本社」でまとめて入力しているため、東京本社の《得意先計》はマイナスで表示される場合がありますが、帳票には反映されません。 - 請求明細書画面で[閉じる]をクリックします。
- [請求書発行]画面から[デジタルインボイス送信][PDF送信]または[印刷]をクリックします。
請求書合算毎で請求書を発行する場合
- 得意先台帳の登録
- 東京本社の登録
画像の付番と項目 入力内容 ① コード A001 ② 名称 東京本社 ③ 郵便番号~担当者 東京本社の情報を入力する ④ 金額端数処理、税端数処理、税転嫁 東京本社の情報を入力する ⑤ 締グループ 東京本社の情報を入力する ⑥ 回収方法~手数料負担区分 東京本社の情報を入力する ⑦ 印刷設定:指定売上伝票 東京本社で使用する売上伝票を選択する ⑧ 印刷設定:指定請求書 東京本社で使用する請求書を選択する ⑨ 企業コード 必要に応じて入力する ⑩ 請求書合算 A001 東京本社 - 大阪支店の登録
画像の付番と項目 入力内容 ① コード B001 ② 名称 大阪支店 ③ 郵便番号~担当者 大阪支店の情報を入力する ④ 金額端数処理、税端数処理、税転嫁 大阪支店の情報を入力する ⑤ 締グループ 東京本社の情報を入力する ⑥ 回収方法~手数料負担区分 大阪支店の情報を入力する ⑦ 印刷設定:指定売上伝票 大阪支店で使用する売上伝票を選択する ⑧ 印刷設定:指定請求書 東京本社で使用する請求書を選択する ⑨ 企業コード 必要に応じて入力する ⑩ 請求書合算 A001 東京本社
- 東京本社の登録
- 売上伝票の登録
本店・支店ごとに登録します。
例として、「大阪支店」の売上伝票の登録方法を説明します。- クイックナビゲータの[売上]タブから[得意先への売上]をクリックします。
- 売上のあった得意先[B001 大阪支店]を選択します。[請求先]には得意先台帳で設定している請求先である「大阪支店」が表示されます。
- 商品、数量などを入力し、[登録]をクリックします。
- 入金伝票の登録
本社・支店ごとに登録します。
例として、「大阪支店」から「大阪支店」分の入金があった場合の入金伝票の登録方法を説明します。- クイックナビゲータの[売上]タブから[請求先からの入金]をクリックします。
- 請求先[B001 大阪支店]を選択します。
- 入金区分を選択し、入金された金額を入力します。
- [登録]をクリックします。
- 請求締切
- クイックナビゲータの[売上]タブから[請求の締切]をクリックします。
- 得意先台帳で設定した[締グループ]を入力し、締切を行う[締日]を入力し、[集計]をクリックします。
- 集計結果には[A001 東京本社][B001 大阪支店]が表示されます。
- [締切]をクリックします。
請求締切は「東京本社」「大阪支店」を同じ締グループ、締日で行ってください。
- 請求書発行
請求書合算毎に発行する場合は、[請求書発行の機能設定]での絞り込みは有効になりません。
絞り込みを行わずに集計して、表示された画面にて発行が必要かを確認してください。- クイックナビゲータの[売上]タブから[請求書の発行]をクリックします。
- 集計単位[請求書合算毎]を選択します。
- 【4 請求締切】の手順2で締切を行った[締グループ][締日]を入力します。
- [集計]をクリックします。
- 得意先台帳の[請求書合算毎]で指定した得意先が集計されます。表示された請求先[東京本社]を選択し、[ズーム]をクリックします。
- 請求明細書に【東京本社】【大阪支店】の明細が表示されていることを確認します。
① 鑑欄は「東京本社」「大阪支店」の合計が表示されます。 ② 明細部の並びは「得意先コード昇順」で表示されます。 ③ 税転嫁[請求時]または[請求時調整]を選択している場合、請求時消費税は「東京本社」「大阪支店」ごとに計算されます。 ④ 請求書番号は空欄です。設定することはできません。 - 請求明細書画面で[閉じる]をクリックします。
- [請求書発行]画面から[印刷]をクリックします。
請求書合算設定を使用せずに適格請求書(インボイス)を発行する方法
適格請求書(インボイス)では、税率ごとの消費税計算と端数処理は一度と決まっています。
請求書合算設定では、得意先ごとに計算した消費税額を合算するため適格請求書(インボイス)の発行要件を満たすことができません。
以下のいずれかの方法を検討してください。
得意先ごとに請求明細書を発行する
請求書合算設定を行っている場合であっても、得意先ごとに請求明細書を発行することが可能です。
請求明細書で適格請求書(インボイス)を発行する税転嫁の設定を行っているか確認し、得意先ごとに適格請求書(インボイス)の発行を行います。
適格請求書を発行する帳票 | 税転嫁 |
請求明細書で適格請求書(インボイス)を発行する |
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納品書で適格請求書(インボイス)を発行する |
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詳細は、以下を確認してください。
弥生販売でインボイス制度に対応するための事前準備と日常運用
請求書合算の設定を無効にしたい場合は、[得意先台帳]または[得意先リスト]の[請求書合算]欄に表示されている得意先コードを消してください。
得意先ごとに請求明細書を発行し、合計額は合計請求書として発行する
請求明細書で適格請求書(インボイス)を発行する場合、適格請求書(インボイス)として扱うのは請求明細書であり、合計請求書は請求書合算設定の合計金額を示しているメモと同じ扱いになります。
この方法で発行する場合、以下の操作を行います。
- [請求先毎]で請求明細書を適格請求書等保存方式で出力する
- [請求書合算毎]で合計請求書を適格請求書等保存方式で出力する
本社に一括請求するよう運用変更して、請求明細書を発行する
複数の得意先の売上をまとめて請求明細書としたい場合は、[請求先]の設定を変更します。
[請求先]を設定すると、それ以後に入力した売上伝票の売掛金は本社に計上されます。
本コンテンツの[請求先]と[請求書合算]の違いを確認し、[請求先]のに運用変更が可能か検討します。
請求先の変更を行う場合は以下を確認してください。
請求先を変更したい
請求書合算では得意先ごとに売掛金が計上されますが、請求先を変更しても売掛金の残高は自動で変更されません。
残高調整を行いたい場合は、入金伝票の入力を行ってください。
- 売掛残高を減らしたい得意先:プラスの金額を入力する
- 売掛残高を増やしたい得意先:マイナスの金額を入力する