賞与計算の手順を以下の順で説明します。
①支給額の計算 ②控除額の計算 ③控除額の合計 ④差引支給額の計算
支給額の計算
賞与の支給項目や計算方法は会社の就業規則(給与規定)によって異なります。賞与算定対象期間中の勤怠状況や従業員の成果などによって変動する場合がありますので、算定基準を事前に確認して支給額を算出することが必要です。
控除額の計算
控除額の計算を以下の順で説明します。
①社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険) ②雇用保険 ③所得税
※「法定控除」の計算方法は給与と異なりますので注意が必要です。
※退職時や給与の支払いがない場合に限り、住民税の控除を行うことがあります。
※「協定控除」については会社独自のものです。会社の規定に沿って計算・控除をしてください。
社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)の計算
社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)は、次の計算式で求めます。
社会保険料=標準賞与額×保険料率 |
弥生給与では「社会保険料率」の設定は、[給与規定]画面の[社会保険]タブで行います。
社会保険の設定(給与規定:[社会保険]タブ)
標準賞与額とは
標準賞与額とは、支給する賞与額から1,000円未満を切り捨てた額のことです。標準賞与額は、次のとおり、上限額が決まっています。
- 健康保険料・介護保険料:573万円(当年4月1日~翌年3月31日の期間合計)
- 厚生年金保険料:150万円(1か月当たりの合計金額)
端数処理
1円未満の端数は、50銭以下は切り捨て、51銭以上は切り上げます。
雇用保険の計算
雇用保険料は、毎月の給与と同様、賞与からも控除します。次の計算式で求めます。
雇用保険料=賃金×雇用保険料 |
弥生給与では「雇用保険料率」の設定は、[給与規定]画面の[労働保険]タブで行います。
労働保険の設定(給与規定:[労働保険]タブ)
賃金とは
雇用保険料は「賃金」に対して課徴されます。原則支給された賞与はすべて「賃金」です。
端数処理
1円未満の端数は、50銭以下は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げます。
所得税の計算
賞与の所得税は、前月の「社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等の数」を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて求めた税率により算出します。
所得税=「社会保険料控除後の賞与の金額」×税率 |
- 「社会保険料控除後の賞与の金額」を求めます。
社会保険料控除後の賞与の金額=賞与支給額(課税対象額)-賞与にかかる社会保険料合計額(健康保険料+介護保険料+厚生年金保険料+雇用保険料) 課税対象額とは
賞与には所得税が課せられる賞与(課税対象額)と所得税が課せられない賞与(非課税対象額)があります。
- 税率を求めます。
前月の「社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等の数」を「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」に当てはめて、税率を求めます。
- 前月の「社会保険料控除後の給与等の金額」を求めます。
前月の「社会保険料控除後の給与等の金額」=前月給与支給額(課税対象額)-前月給与にかかる社会保険料合計(健康保険料+介護保険料+厚生年金保険料+雇用保険料) - 従業員から提出された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」より「扶養親族等の数」を求めます。
- 税率を求めます。
- 前月の「社会保険料控除後の給与等の金額」を求めます。
- 所得税を求めます。
所得税=「社会保険料控除後の賞与の金額」×税率 端数処理
1円未満の端数は切り捨てます。
控除額の合計
法定控除および協定控除の計算後、合算することで控除合計額を求めます。
控除合計額=法定控除額(健康保険料+介護保険料+厚生年金保険料+雇用保険料+所得税)+協定控除額 |
差引支給額の計算
差引支給額は、次の計算式で求めます。
差引支給額=賞与支給額-控除合計額 |
※控除合計額=法定控除(健康保険料+介護保険料+厚生年金保険料+雇用保険料+所得税)+協定控除