法人を設立するためには、さまざまな手続きが必要です。
(1)事前準備
法人を設立するためには、事前準備が必要です。
●印鑑の作成
会社設立の手続きの中で必要な印鑑には個人のものと法人のものがあります。
印鑑の種類 | 備考 | |
個人 | 発起人や代表取締役の実印 | 主に定款の作成や認証で使います。 設立の手続きには、印鑑証明証も必要です。 登録がまだの場合は市区町村役場で印鑑登録が必要です。 |
法人 | 実印 | 設立などの登記はもちろん仕事上の契約などでも使います。 代表者印と呼ばれることもあります。 |
角印 | 会社名だけを彫った四角い印鑑です。 主に社内で使われますが、注文書など社外にも使います。 社印と呼ばれることもあります。 |
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銀行印 | 会社の預金の作成、小切手や手形の振り出しなどに使います。 実印と似ていますが、実印より一回り小さいです。 |
※角印と銀行印は会社設立の手続きには使用しませんが、通常は実印とセットで購入します。
※実印を銀行届出印として使用することや、銀行印を印鑑登録し実印にすることはどちらも可能です。
●社名や目的の決定
社名や目的は、類似している商号で同じ目的の会社が他にないかどうかに気をつけて決定する必要が
あります。
新会社法が施行される前は、紛らわしい商号(会社の名称)を排斥するため、同一市町村において他人が登記した商号や同種の営業について登記することが禁止されており、会社の設立の際には、類似商号調査が必須でした。
現在は、同一本店所在地に同一商号の会社を登記することができません。
そのため、設立前に同一の本店所在地に同一の商号の法人が登記されていないか念のために調査して
おきましょう。
また、商号が似ているなどの不正目的の商号使用の差し止めや損害賠償請求が多くなりました。
そのため社名や事業の目的を決める際は注意が必要です。
- 法務局に設置されている「商号調査簿」
- 一般財団法人 民事法務協会の「登記情報提供サービス」
- インターネットで同名の企業がないかどうかの検索
などの簡単な調査はしたほうがよいと思われます。
(2)定款の作成と認証
定款とは会社の商号、目的、所在地、組織など会社の基本的なルールを定めたもののことをいいます。
会社の設立時には必ず必要です。
株式会社の場合には、定款を作成し公証役場で認証します。
●定款の作成
定款は会社の規模や組織などによって記載事項が異なります。
詳しくは「日本公証人連合会」の次のページを参照してください。
定款記載例
●定款の認証
認証手続きのために、発起人の全員または発起人全員の委任を受けた代理人が公証人役場に行く
必要があります。あらかじめ予約が必要です。
また、役場によっては定款案の事前のチェックをしてくれる場合もあります。
お近くの公証人役場にお問い合わせください。
全国公証役場所在地一覧
「持参する書類」
- 認証を受けようとする定款3部・・・公証人役場保管用、会社等保管用および法務局提出用
- 発起人全員の印鑑登録証明書
- 収入印紙 4万円分
- 認証手数料 5万円
- 謄本発行手数料 一般的には、2000円から3000円程度
- 認証嘱託のための委任状(代理人がある場合)
- 公証人役場に行く人の氏名等を確認するための書類、印鑑
(3)出資の払い込み
設立登記をするためには、発起人名義の個人通帳に資本金等の金額の払い込みを受け、払い込みを受けた通帳のコピーを登記申請書類に添付します。
そのため、設立登記をする前に、別段預金や個人通帳などに資本金等の金額を払い込みます。
仕訳などの詳細は下記のページを参照してください。
資本金が入金されたときはどのように仕訳すればよいですか?
(4)設立登記
定款が完成し、資本金の払い込みを受けたら、法務局で設立登記申請を行います。
「株式会社設立登記申請書」と定款、印鑑証明証などが必要になりますが、
会社の組織(取締役会の有無)などで添付書類が異なります。
「取締役会を設置しない株式会社」の場合は、下記ページの添付書類の項目をご確認ください。
取締役会を設置しない株式会社の発起設立
法務省に法人の登記の書式例が記載されているページがあります。こちらも参照してください。
商業・法人登記申請
※設立登記は司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
(5)設立届
設立登記が終了したら、所轄税務署や都道府県の県税事務所、市区町村役場に設立届を提出する必要があります。
届出の一覧はこちらを参照してください。
法人を設立したときの届出一覧